”自由に靴を選べない、それは女性だから” 偏見と差別に#KuTooで立ち向かえ!

あなたはヒールの高いパンプスは好きですか?

「足を綺麗に見せてくれるから好き。」

「ファッションとしておしゃれに見えるから好き。」

「これから仕事、という気持ちの切り替えのためヒールは欠かせない。」

自ら選択してヒールのパンプスを履いているならいいでしょう。

しかし、中には外反母趾になってしまったり、腰が痛くてヒールが履けない人もいます。

それでも職場では就業ルールとしてヒールのあるパンプスを履くように定められている。

”自由に靴を選べない、それは女性だから”

そこで生まれたのが「#KuToo」。

職場でヒールの高い靴を履くことを強制されることへ抗議する社会運動です。

ジェンダー差別問題、パワハラ問題ともされるこの#KuTooについて考えてみませんか?

 

1、#KuTooの発端

グラビア女優でライターの石川優実さんは葬儀の案内のアルバイトをしていました。

そこでは就業ルールとして、ヒールのあるパンプスを履くように定められていました。

葬儀の仕事は立ち仕事で、動き回ることも多く、靴ずれができたり、血が出たり、腰が痛くなったり。人によっては外反母趾になったり。

仕事が終わると、職場の女性はみなフラットの靴やスニーカーに履き替えていたそうです。

動きにくい上に痛みまで伴うヒールのあるパンプスに縛られる仕事って何だろう?

疑問に持ちながら、マナーだから仕方がなく従うしかありませんでした。

 

男性社員の靴を揃えた時、Twitterで、

「私もこの靴だったらもっと仕事の負担が減るのになぁ・・・」

とつぶやいたら、たくさんのいいねとリツイートがされました。

そして、#KuTooというハッシュタグが生まれたのです。2019年1月のことです。

 

#KuTooとは「苦痛」と「靴」とかけて、アメリカで生まれた性暴力被害者支援のスローガン#MeTooを擬したものです。

このネーミングセンスといい、パンプスの強制に嫌気がさしていた女性たちの支持を受け、SNSを中心に賛同の声が広がっています。

 

それから、石川さんは職場で女性がヒールやパンプスを履くことを強制する風習をなくしたいと、ハイヒールの着用を強制することを禁止する要望書を作成。18,856人分の署名をSNSで集め、2019年6月3日、厚生労働省に提出しました。

 

男性はヒールやパンプスを履かなくてもマナー違反にならないし、相手に失礼にも当たらない。性別が違うというだけで、女性にばかり苦行とも言うべき痛い靴を履くことを強制するのはジェンダー差別、もしくはパワハラではないでしょうか?

 

 

2、世界の#KuToo

2015年、イギリスで平等法により性差別は違法と定められているにも関わらず、ハイヒールを履かなかった女性がその日に解雇されました。

その日、女性はコンサルティング会社の受付に派遣会社から派遣されました。

9時間のシフト、来客を会議室に案内する仕事と聞き、歩きやすいドレッシーなフラットシューズを履いていました。

しかし、その会社は服装規定で「女性は約5〜10センチのハイヒールを履かなければいけない」とあり、その会社の人に外に買いに行ってくるよう提案されました。

女性は「ヒールのパンプスでそれはできない」と拒否したところ、帰宅するよう命じられ、解雇され、その日の賃金は支払われませんでした。

女性は納得できず、「時代遅れで性差別的」な服装規定を違法とするよう、政府に訴えるためオンライン請願の署名を集めたところ、なんと3日間で10万件の署名が集まり、下院議会で審議となりました。

イギリスでは平等法により本来はハイヒールの強要は違法となっています。

この請願により改めて平等法が見直され、パンプス等の強制は性差別であり違反だということが確認され、法に則った就業規則を作るよう通達が出ています。

 

フィリピンでは、2017年に労働雇用省が、立ち仕事をする女性スタッフに対するハイヒールの強制を禁止しています。

小売業、サービス業、組立工場勤務、教師、警備員などの職種が対象となっており、小売業の販売をする女性からのSOSで実現しました。

きっかけは一人の女性ですが、「私もヒールの靴で苦しんでいた」という声が全国から多く上がり、政府に労働雇用省が働きかけました。

フィリピンはアジアで最初に企業によるヒール着用強制を禁止した国だといいます。

 

カナダのブリティッシュコロンビア州では2017年、州内の企業に女性スタッフのハイヒール着用強制を禁止しました。

 

フランスのカンヌ映画祭では俳優、女優のドレスアップが話題になりますが、実は細かいドレスコードがあり、映画祭に参加する女性は、ヒールの高い靴を履くことがいわば義務付けられています。

2015年にフラットシューズを履いた女性が、映画祭への入場を拒否される事態が起きました。これを受け、翌16年のカンヌでは、女優のジュリア・ロバーツさんが抗議の意味を含めて、裸足でレッドカーペットを歩いたのです。

さらに2018年には、同映画祭の審査員を務めていた女優クリステン・スチュワートさんがレッドカーペットを裸足で歩き、「女性に対するフラットシューズ禁止令」に逆らいました。

(引用出典:読売新聞オンライン大手小町より)

 

ドイツでは女性の靴に関しての決まりごとは緩やかだということです。

ドイツといえばビルケンシュトックやトリッペンなど、足型に沿ったフラットな履きやすい靴のブランドが頭に浮かびますよね。

メルケル首相もローファーやフラットな革靴を愛用しているそうです。

ドイツでは歩きやすさや、足の健康を考えての靴選びが浸透しています。

 

経済的に発展し、働く女性が増えてきている日本でも、ヒール着用によって女性が働くことに苦痛を強いられているなら、法律で職場のヒール靴の強制を禁止してほしいですね。

 

 

3、#KuTooへの日本の対応

日本で#KuTooを生み出した石川さんは、厚生労働省へ署名を出してから、「お前も我慢しろ」「どこの会社が突き止めてやる」など理不尽なバッシングや脅迫まがいの言葉を受け、葬儀屋を退社しました。

ハイヒールを好みで履いている人からも、「やめて」と言われることが多いそうです。

ファッションとして好みで履いている人に対して、「履かないで」と言っているわけではないということを、まず理解してほしい。

履くのが痛い、苦痛だと思っている人へ、履かないという権利が欲しいだけと石川さんは強調しています。

 

署名を受け、厚生労働省の根本匠氏が

「(女性の)ハイヒールやパンプスの義務付けは社会通念に照らして業務上必要な範囲かと思います。」

と発言しました。いわば、ヒールの靴の容認発言にネットはさらにざわつきました。

 

その後、厚労省は市民との集会で、雇用機会均等課の担当職員が改めて容認発言を否定ししました。そして、強制はパワハラに当たるのではないかと、成立したばかりのパワハラ防止法で取り組むよう助言しました。

 

それに対し、石川さんは、#KuToo問題は根本にジェンダーの問題があり、労働環境の問題でもあると指摘しました。

先の集会では、ネットメディア「ビジネスインサイダージャパン」が実施した、職場でのハイヒール・パンプス着用に関するアンケート調査結果も報告しました。

この調査はインターネットを通じて行ったアンケートで、207人のうち6割超の140人が、「職場や就活などでハイヒール・パンプスを強制された、もしくは強制されているのを見た」ことについて、「ある」と答えています。

 

まだ日本では始まったばかりの#KuToo問題。

先行きが気になります。

 

 

4、#KuTooとファッションの流れ

ヒール靴の強制は男性には気が付いていないかもしれませんが、女性への圧力があります。

健康に害がある、そして動きにくく効率が悪いというのにも関わらず、マナーを優先させる。同じ職場、同じ仕事内容なのに性別によって服装の制約がある。という圧力です。

見た目、マナーという点でフラット靴にNGを出す男性の皆さんはヒール靴の痛さ、辛さを経験したことがないのでしょう。

 

しかし、一昔前、女性が働き始めたころは、職場で数cmのヒールの靴を今ほど抵抗なく履いていました。私たちがヒール靴に拒否反応を示すようになったのはファッションの流れもあるでしょう。

それは数年前から続くエフォートレスのブームです。

エフォートレスとは「努力を要しない、軽々とやってのける」などの意味で、気取らずに、どうおしゃれを楽しむかが中心になっていて、それらを抜け感、こなれ感、エフォートレスといって表現しています。

 

10年前までは、ヒールは6cmが一番低く、歩きやすい高さ。8~10cmのヒール、それもピンヒールだと気合を入れたい時というように、フラットシューズでは敗北感が漂う空気がありました。

転機となったのは2016年。

常に12センチヒールをはきこなし「ハイヒールじゃないとおしゃれじゃない」と、公言していた、ファッション・アイコンのヴィクトリア・ベッカムが、ニューヨーク・ファッション・ウィークでの自身のブランドのコレクションにフラットシューズで登場。インタビューで、「ハイヒールはもうムリ」と、発言し、ファッション界がざわめきました。

家のランニング・マシーンでもヒールで走っていて、ハイヒール好きがほぼギャグのようだったヴィクトリア・ベッカムが、そこまでの方向転換をするとは……。

(引用出典:GQjapanより)

 

最近は、バレエシューズやローファーなどのフラットシューズやスニーカーをおしゃれに履くことができ、女性の靴は選択肢が増えました。

ファッション全体がエフォートレスになっているのに、ヒールパンプスではコーディネートが合いませんよね。

そういった中で、職場の靴規制は時代錯誤に感じます。

 

5、女性たちよ、フリーになれ

先述したヴィクトリア・ベッカムさんが、公の場でハイヒールを卒業したり、ジュリア・ロバーツさんがハイヒールを拒否をしたことは、我々女性にとってとても大きな進歩です。

日本では、今回、石川さんが#KuTooを訴え、ジェンダー差別問題、パワハラ問題として土俵に上げてくれたことで、日本女性の不満を社会に訴えることができました。

 

ハイヒーファッションとしてヒールを履きたいときは履けばいいし、スニーカーが好きな人はスニーカーを履けばいい。

女性は靴に縛られることなく、自由になっていいのです。