シェアリングエコノミーって何?


黒い四角いリュックを背負い、自転車にまたがり、街を颯爽と駆け抜ける姿を東京の都心で最近よく見かけます。
リュックには白と緑で「Uber Eats」のロゴ。
ウーバーイーツは、2009年にアメリカで創業したウーバーテクノロジーズ社が始めた出前サービスです。
空いた時間と労働力を、飲食店と注文主でシェアする「シェアリングエコノミー」という新しいビジネスを築き、注目されています。
これからますます急増するシェアリングエコノミーを紹介します。

 

1、シェアリングエコノミーとは?

シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して、ヒト、モノ、場所、乗り物、技能など個人と個人の間で貸し借りや交換することで成り立つ経済のシステムです。
貸し借り、つまり「シェア」の考えや消費スタイルが急速に広がりを見せています。

”たとえば、誰も住んでおらず活用されることのない空き家は総住宅数の約15%、約1000万戸にのぼり、自動車の利用率は5%程度で年に20日程度しか利用されていないというデータがあります。これらは氷山の一角であり、日本には眠ってしまっている様々な遊休資産があります。”
引用:シェアリングエコノミー協会より

「着なくなった洋服を売って、新しい洋服を買おう」
「もう販売休止となっているおもちゃを子どもが欲しがっている」
こういった理由でフリーマーケットのインターネット版「ヤフオク!」や「メリカリ」を利用したことがある人も多いでしょう。これもシェアリングエコノミーです。
このフリマアプリのポイントは、自分が不要になったモノでも、他の誰かにとっては必要で、探していた価値あるモノであるという点です。

こうした個人売買を一気に広めたのは、インターネットやスマートフォンの普及です。
欲しい物や、買いたい人が仲介企業のサイトにアップするだけで、気軽に見つけることができるようになりました。

シェアリングエコノミーが活かせる業界として、仲介企業は「モノ」だけではなく、「空間「移動手段」、「スキル(技能)」、「お金」を挙げています。

「空間」のシェアは、家の空き部屋を有効活用したいと考えている人が、民泊として観光客などに貸すというビジネスや、会議室、スタジオなどのスペースをシェアできるビジネスがあります。いずれも活用できていない空間に、宿泊施設や会議室といった価値が生まれます。

「移動手段」のシェアは、車で遠出するけど、後部座席が空いているので、誰か目的地が近い人が相乗りするという「ライドシェア」などがあります。

「スキル(技能)」のシェアは、ベビーシッターや家事代行などがあります。時間があって料理が好きな主婦と、共働きで料理をする時間がない家族のニーズが一致し、生まれたサービスです。

「お金」のシェアは、近年話題になっているクラウドファンディングがあります。インターネットを通じて、思いに共感してもらえる人から寄付やビジネス資金などを募るシステムです。

いずれも活用されていなかったモノやスキルなどを、必要としている人に提供し、価値ある物に変え、双方に利益をもたらすことが特徴です。

仲介企業で作るシェアリングエコノミーは2015年のスタート時、32社でしたが、今は加盟企業は約300社と増え続けています。
総務省 平成30年版情報通信白書によると、日本のシェアリングエコノミーの市場規模は2015年度約398億円であったものが、2016年度には約503億円まで拡大しており、2021年までに約1,071億円まで拡大すると予測しています。

2、シェアリングエコノミーが生まれた背景

戦後、技術改革によりモノが大量生産、大量消費される世の中へと変わり、経済が発展してきました。
モノを大事にする習慣も薄れ、廃棄するモノが増えたことにより、環境問題が深刻化しています。
SDGsでも謳っているように、「つくる責任、つかう責任」について考え始め、過剰な生産や消費を見直す動きが広がりました。
そこで、他の人とモノやスキルを共同利用するシェアリングエコノミーが注目されるようになりました。

元来、日本は近所や地域内で助け合って生活していた風土があります。
シェアリングエコノミーの基本の精神が備わっていたのです。
それが、核家族化が進み、一人暮らしの世帯が急増しました。
人との繋がりが希薄になり、何かあっても頼りにできる人が近くにいない社会でシェアリングエコノミーが生まれました。
その後、インターネットやスマートフォンの急速な普及もあり、位置情報、決済システムが明確にでき、リアルタイムに欲しいモノ、余っているモノをシェアするということが簡単にできるようになりました。
人との新たな繋がりをもたらしてくるもの、そういったソフトの側面も共感されたのが、シェアリングエコノミーが広がっている理由の一つです。
実際、地震や台風による被害地域では「共助」の取り組みから、宿泊場所の無償提供、支援金の募集、ボランティアの方への駐車場提供などで、シェアリングエコノミーのシステムが使われています。

 

3、こんなところにシェアリングエコノミー

 

*お年寄りの足
地方では過疎化や高齢化で車を持たないお年寄りが、病院や買い物など不便に感じている人が多く存在します。
北海道天塩町は、車の相乗りサービス「ライドシェア」を推進しています。
大きな病院やスーパーがある稚内市までは約70km。車を持たない人は、バスと電車を乗り継いで約3時間かかります。
しかし、車ではその半分の時間で着くことができます。
そこで、天塩町は仲介企業と連携し、通勤などで市内に行く町民の車に、高齢者が相乗りできるビジネスを始めました。
高齢者は運転者に運賃ではなく、謝礼を支払う仕組みのため、いわゆる「白タク」には該当しません。
利用者は通院や買い物がしやすくなったと好評で、全国から視察や問い合わせが相次いでいるそうです。

*子育てしやすい環境作り
育児中の家庭が、スマホアプリで繋がり、お互いに子どもの送迎や託児を頼り合う、子育て支援システム、「AsMama」。
特徴は顔見知り同士で頼り合えるということ。
「子どもを一時間預かってほしい」
「幼稚園の送迎を頼みたい」
といった、少しの時間でも依頼ができます。1時間500~700円というルールがあるので気兼ねなく利用できます。
子育てと仕事の両立という子育て世代の悩みを解決するサービスです。

他にも日本ではあまりなじみがないベビーシッターを、インターネット上で空いている人、顔写真、経歴などから探し依頼できるサービスや、保育園や学校に行けない病気の子どもを自宅で見てもらうこと、食器洗い、部屋の片づけなどちょっとした家事でも依頼できるサービスもあります。

*ホテル不足
2019年9月に開幕したラグビーワールドカップ。岩手県釜石市で2試合が開催され、計3万人以上の来場が予測されていたが、市内の宿泊施設には1400人しか泊まれませんでした。
そこで、釜石市は民泊を募集。市民に空き部屋を提供してもらいました。
仲介企業は「Airbnb」。シェアリングエコノミーの業界では先駆者的存在です。

福島県喜多方市はしだれ桜の名所として知られているが、花見シーズンの路上駐車や、交通渋滞が問題になっていました。
そこで、喜多方市は「軒先パーキング」と連携し、市民に空きスペースを駐車所として提供してもらうサービスを始めました。今では、150台以上の駐車場が確保でき、渋滞も緩和してきているといいます。

*新たなチャレンジを応援する
自分のアイディアをネット上でプレゼンテーションすることで、そのアイディアへの賛同者を集められる仕組み。「アイデアを形にしたい人」と「アイデアを応援したい人」を資金提供という形で繋ぐクラウドファンディングサイトが「Makuake」です。
映画「この世界の片隅で」は、約3,000人の支援を受け映画館で上映されたことがきっかけで最優秀アニメーション作品賞を受賞しました。
エンドロールに名前が入るリターンが話題を呼び、公開初日に支援者が殺到しました。

4、シェアリングエコノミーの課題

 

シェアリングエコノミーは新たな経済成長を呼び、社会の課題にも解決になると、政府も普及を推進しています。
なんと、内閣官房のIT総合戦略室に各自治体からの相談を受け付ける窓口を作り、講演会を開いたり、専門家を派遣したり、個々に対応もしています。

急成長を遂げているシェアリングエコノミーですが、まだまだ課題は多いようです。

例えば、家にある不用品を売りたいという人と、買いたいという人がいます。
この取引は、はスマートフォンのアプリなどから仲介業者を通しますが、やりとりの連絡、荷物の発送、受取などは個人間の取引になります。
相手はどのような人なのか不安がありますし、購入した人はその商品の価格と質が思っていたようなものではなかった、というようなトラブルが発生する場合があります。
中には、問題がこじれ、公的相談機関に駆け込む利用者も少なくありません。
実際、国民生活センターには、フリマアプリの取引をめぐるトラブル相談がこの5年で20倍近くに増えています。
「商品が届かない」
「偽物が届いた」などのトラブルが多いといいます。

総務省が2018年に行ったアンケートでは、約64%の人が
「トラブル発生時に仲介企業による保証や介入の仕組みがある」
のが、安心して利用するためには望ましいと答えています。

出典:総務省情報通信白書平成30年度「シェアリングエコノミーに対する消費者の意識」

安心して利用できるよう、シェアリングエコノミーのほとんどは、事前に本人の公的な身分証明書の登録をしています。また、取引終了後に提供者と利用者のレビューによる相互評価制度があり、お互いが相手のサービスやマナーを評価します。
この評価システムは安心や信用に繋がりますね。また、トラブルを防止するだけでなく、システムのサービス向上にも役立っています。

また、課題として、事故やトラブルが発生した場合、既存の保険が適応されなかったり、補償の範囲がどこまで適用されるか不明確だったりなど、満足な補償を受けられない可能性があります。
しかし、近年シェアリングエコノミー向けの保険商品も登場し、保険補償制度の整備が整いつつあるので、利用前には確認が必要です。

また、消費者が安心安全に利用できるよう、シェアリングエコノミー協会は、仲介企業の信頼度を示す「認証マーク」制度を作りました。

 

5、まとめ

”自分の不用品が、誰かにとっては価値のあるモノ”
ここに目をつけた新しいサービスであるシェアリングエコノミー。
事情があり通勤することができない人が在宅で仕事ができたり、家の空き部屋に困っている人と古民家にとまってみたいという旅行者を繋いだり。
新たな出会いにワクワクしますね。
自治体の活用も盛んになり、地方創生としても希望の光になります。
こらからますます増えてくるシェアリングエコノミー、あなたはどのような形で参加しますか?