働く女性から見たテレワークのメリット・デメリット
2018/10/16
新しい働き方の一つ、テレワークを知っていますか?
テレワークとは、「tele=離れたところで」と「work=働く」をあわせた言葉で、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。
社会が抱える問題、高齢化、働く世代の人口減少、地方過疎化に立ち向かう策として、政府が推進している制度です。
在宅勤務や、モバイルワーク、サテライトオフィス、はたまたワーケーションという選択肢も出てきました。
自分の会社では制度がないから関係ないと思った方もいるでしょうが、このテレワーク、政府が今、とっても後押ししている働き方ですから、これから導入される会社も多いはず!
ここでは、働く女性から見たテレワークのメリット、デメリットを正直にお話しします。
目次
テレワークとは、インターネットなどのICTを利用することで、本来勤務する場所から離れて仕事をすることで、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つのテレワークの形態の総称です。
テレワークが推進される理由として、社会、企業、従業員、3方面に効果があるためです。
①社会にとって、テレワークによる働き方改革を普及することで、一億総活躍、女性活躍、障害者雇用を推進し、労働力の確保ができます。また、地方の活性化、環境負荷の軽減に効果があります。
②企業にとって、多様な働き方の実現で優秀な人材の確保、離職抑止になります。自然災害や感染症の流行などが発生した場合でも、事業を継続することができます。また、働きやすい会社というイメージができ、企業イメージの向上に繋がります。
③従業員にとって、仕事と育児、介護等の両立ができ、キャリアを中断することがなくなります。また、在宅勤務ですと、通勤時間を削減できるので、ワークライフバランスを実現することができます。
時代の流れとともに、個人の働き方への意識も変化しています。
総務省が2018年7月に発表した「テレワークの最新動向と総務省の政策展開 ~ 「テレワーク・デイズ」を通じた働き方改革 ~」の中に、
Q あなたの「就職観」に最も近いものはどれですか?
1位 楽しく働きたい 33.3%
2位 個人の生活と仕事を両立させたい 24.2%
3位 人のためになる仕事をしたい 15.0%
4位 自分の夢のために働きたい 11.6%
5位 社会に貢献したい 5.7%
6位 プライドのもてる仕事をしたい 5.6%
7位 収入さえあればよい 3.6%
2019年卒 マイナビ大学生就職意識調査(2018年5月1日公表)抜粋
という調査が掲載されています。若者がワークライフバランスのとれた仕事を求めているのがわかりますね。
このワークライフバランスに適した働き方がテレワークです。
また、「テレワーク・デイズ」はご存知でしょうか?
2020年、東京五輪・パラリンピックでは日本は海外からのお客様を「おもてなし」することになります。そのときに、海外からのお客様をぎゅうぎゅうの満員電車でお迎えをするような事態は絶対に避けなくてはなりません。
来る東京オリンピックに向け、開会式が行われる7月24日前後の1週間を、政府は「テレワーク・デイズ」と名付けて、在宅勤務やリモートワークの全国一斉実施を呼びかけています。
予行演習として、2017年から始まりました。
初年度、2017年は参加団体950団体、実施者数6.3万人、東京メトロ豊州駅のピーク時間帯乗客減少量-10%など交通混雑を緩和する効果がありました。
テレワーク・デイズがきっかけで初めてテレワークを実施した人も多く、今後も継続してテレワークを実施したいかのアンケートでは、なんと97%もの人が継続実施を希望しています!
テレワークはどのくらい普及しているのでしょうか?
雇用型労働者のうち、雇用型のテレワーカーは14.8%。前年が13.3%でしたので微増はしています。
従業員100人以上の企業でテレワークを導入している企業は13.9%、具体的に導入予定がある企業を含めると18.2%。
導入済みの企業でも、利用者数が従業員の5%未満の企業が51.4%とシビアな数字です。
業種別では「情報通信業」のテレワーカーの割合が最も高く30%を超え、次いで「学術研究、専門・技術サービ ス業」が27.0%、他業種は約10~20%となっており、「宿泊業・飲食業」の7.2%が最も低くなっています。
続いて職種別では、「管理職」「営業」「研究職」のテレワーカーの割合が高く30%前後です。
テレワーク制度等を導入している割合は、従業員数1,000人以上が一番多く(25.1%)、従業員数が増えるほど、 高まる傾向となっています。
(以上、平成29年度 テレワーク人口実態調査 より)
国や企業から見たテレワークの次に、私たち働く女性のメリット、デメリットを見てみましょう。
☆『通勤地獄から解放される』
朝から満員電車に揺られるのってとても疲れますよね。
暑い日に近くの人の汗を感じながら。前の人の洋服についた臭気をかぎながら。冬は隣のおばさんの樟脳の匂いにやられ。
立っているだけでやっとの満員電車は体力と気力の消耗はすさまじいもの。
テレワークで在宅勤務の日は、この朝の苦行がないというだけでもう気分は晴れ晴れですね。
☆『集中して仕事ができる』
オフィスで働いていると、誰かに話しかけられたり、電話がかかってくるので、その度に作業が中断されますよね。テレワークだと、一人で静かに仕事に集中できます。
☆『ワークライフバランスの充実』
通勤時間がなくなった分、朝夜の時間に余裕ができ、心にゆとりが生まれます。
家族でゆっくりと食事をすることで、話をする機会も増え、家族のコミュニケーションが活発になります。
テレワークディは休みが合わない旦那さんと近所のカフェでランチができるという声もありますよ。
☆『子育てや介護との両立がしやすい』
子どもが熱を出すたびに休み、業務を進められず、遅延した業務を時短勤務の中で取り戻してを続けていたので、心身ともに負担が大きい、という方多いと思います。テレワークなら、子どもが病気で保育園や学校をお休みする時も、仕事の穴を開けることなく、自宅で子どものお世話をしながら仕事ができます。
☆『空いた時間がとても魅力的』
通勤の空いた時間、集中して仕事した分、業務が早く終わり空いた時間などに、美容院、ネイルサロン、ジム、病院などに行けます。普段週末だとなかなか予約ができないけれども、平日だとすんなり予約が取れたり、すいていて待ち時間が短かかったり、いいこと尽くしです。
☆『仕事が続けられる』
育児や介護、夫の転勤、テレワークならキャリアを捨てることなく、仕事を続けることができます。
育児で時短勤務中も、テレワークを併用することでフルタイム勤務に移行でき、責任のある仕事を任されるようになったという意見もありました。
働く意識が変わった近年の女性にとって、これはとても大きい魅力ですね。
☆『好きなところに住める』
通勤時間を考えなくてもいいため、趣味のサーフィンを楽しもうと、都心のオフィスから離れた海の近くに住む。というように、好きな場所に住むことができます。理想のワークライフバランスを実現することが可能です。
★『働きすぎる』
テレワークになじむ業務とそうでない業務の整理をまずしないと、いきなり自宅で仕事はできません。その管理にまず時間と労力が必要です。
また、自宅で仕事ができるということは、時間にとらわれずできるということ。
裏を返せば、深夜まで仕事を詰め込みすぎて長時間労働になってしまう可能性もあります。テレワークでは、自己管理が今まで以上に求められます。
★『家族の理解が必要』
子どもの長期休みと重なり、かえって仕事に集中できないというケースもあります。
家にいるので、ちょっとお願いと買い物やゴミ捨てなど家事を家族に頼まれたり。
「今日は家で仕事をする日」という家族の理解は必要です。
★『リラックスしすぎる』
家にいるのだから、すっぴんで部屋着、当たり前ですよね。肌は休ませたいし、コーディネートに頭を使いたくありません。女性ならこの気持ちわかりますよね。
電話やメールでのオフィスとのやりとりだったらこれで大丈夫なのですが、突然のSkype、テレビ会議、Web会議など映るのは厳しいもの。
誰?と言われない程度、薄化粧はしておいた方が良いですね。
★『宅配便出てもいい?』
在宅でテレワーク、Web会議中にピンポンと宅配便が来たら、どうしますか?「少し席外します」ができればいいですが。仕事モードになっているときの突然の出来事には迷います。
★『疑われる』
家で仕事をしているって本当なの!?と疑われるのも嫌なもの。
『だから、常時連絡が取れるように、片時もスマホは手放しません。トイレに行くのもスマホを持って入ります。もし、電話に出なかったら「それみたことか」と言われるに決まっている。』
このような声がありました。
トイレに行くのにスマホを握りしめているなんて、そのストレスも大変に思えます。常に「サボっていない」ことを証明しないといけない気分になったら要注意です。
テレワーク導入にあたって、企業は課題も多くあります。
人事、労務の観点では、テレワークを通じても適切な労働環境で働けるようにルールを整備します。就業規則、労働時間、人事評価等です。成果を見える化して、正当な評価ができるルール作りが必要です。
そして勤務場所を離れても仕事ができるようICT環境を整えるために、ICTシステム・ツールの選択、導入をします。
また大切なのは、セキュリティ対策です。安全なテレワークが行えるよう、社員に徹底するとともに、ウィルス対策ソフトや生体認証など技術的な対策をします。
導入にあたり、ハードルがあるものの、企業にとってもメリットが多くあります。
先述した、生産性向上、人材確保、企業イメージの向上、災害時等のリスク分散などです。
「必ずオフィスで働かなければいけない」という制約をなくすことで、多様的な働き方が実現し、企業、働く人、社会にとっても様々なメリットが生まれるのです。
家で仕事をするのは、プライベートとのON/OFFの切り替えが難しそう、仕事のコミュニケーションが減るのではないか、仕事の評価がつきにくいのではないか等、不安を抱えている人は多くいます。
しかし、実際にテレワークを経験した人からは、集中できる、いいアイデアが出せるとメリットを感じている声が多くあがります。
どんな場所でもどんな人でも働けるテレワークは、これからの時代、確実に増えていくでしょう。