セカンドキャリアとは 成功させるための方法
2022/2/15
セカンドキャリアとは元々はプロスポーツ選手の引退後の仕事や、定年退職後や出産育児後のキャリアチェンジを指していました。
しかし、転職や副業が身近な存在となった今、セカンドキャリアという言葉の意味合いが変わってきました。
ここではセカンドキャリアの年代別の注意点や、成功させるための方法を説明します。
目次
セカンドキャリアとは第二の人生における職業のことです。
もともとはスポーツ選手の現役引退後のキャリアチェンジを指し、コーチや監督など指導的役割に回ることを意味する言葉でした。
しかし、今はスポーツ選手も大胆なキャリアチェンジをしています。
柔道のオリンピックチャンピオンである松本薫さんは引退後にアイスクリーム屋さんを始めました。ハンマー投げのオリンピックチャンピオンの室伏広治さんは現スポーツ庁長官を務めています。(2022年1月執筆現在)
また、定年退職後や脱サラをしてキャリアチェンジすることや、女性の出産育児後の仕事もセカンドキャリアと呼ばれています。
しかし、それは終身雇用が大半を占め、女性は結婚、出産といったライフステージの変化で退職を余儀なくされていた時代のことです。
今や転職を経験したことがある人は5割を超え(参考・リクナビNEXT)、副業をしている人は2割を超え(参考・ITmediaビジネス)、終身雇用は崩壊しつつあります。
一つの会社に縛られることなく将来を見据えてキャリアチェンジし、キャリアアップをするために転職をする傾向が強くなり、従来の「セカンドキャリア」という言葉が持つ意味合いが変わってきています。単なる転職とは違い、第二の人生をより豊かに送るための長期的なキャリアを構築するというニュアンスが強いようです。
セカンドキャリアを考えるタイミングの主なケースとして次の2点を挙げます。
女性のライフステージに伴う離職は、制度が整うにつれ減少しているものの未だ離職理由の一つとなっています。
第一生命経済研究所が2018年8月にリリースした『出産退職の経済損失 1.2 兆円 ~ 退職20万人の就業継続は何が鍵になるか?~ 』によると、2017年の出生数は94.6万人(厚生労働省)。出産に伴って退職する人は、2017年に20万人だったと推定され、出産した母親の21%に相当するそうです。
出典・第一生命経済研究所『出産退職の経済損失 1.2 兆円 ~ 退職20 万人の就業継続は何が鍵になるか?~ 』
退職理由は仕事と子育ての両立の困難がベースにあるようです。
仕事の内容によって勤務時間が合わなそう、体力がもたなそう、職場に両立を支援する雰囲気がなかったというのが理由です。
子育てが一段落し復職する際、勤務時間の融通が利く職種やリモートワーク可能な職種に再就職したいという女性が増えています。
また、教育費の負担増や、世帯所得の伸び悩みも20代〜40代女性の復職希望の理由であり、女性もキャリアチェンジの意識が高いといえます。
早期退職とは、定年を迎える前に退職することです。
2021年4月に高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就労機会確保が企業の努力義務となりました。
内閣府発表の『令和2年版高齢社会白書』によれば、日本の65歳以上の割合は28.4%を占めています。少子高齢化が進み労働力人口の減少で、高齢者雇用は労働力確保のためといえますが、シニア世代の働く意欲が高いのも現実です。
しかし、人口の多い団塊ジュニア世代(約1971年〜1975年生まれ)やバブル世代(約1965年〜1970年生まれ)の人件費が、大企業中心に大きな負担となっています。
上場企業が2021年に募った希望退職者数は1万5892人に達した。20年からは減少したが、2年連続で1万5000人を上回った。新型コロナウィルス禍が直撃したアパレルや観光 業界が多く、鉄道でも18年ぶりに募集があった。足元ではオミクロン型が猛威を振るっており、22年も募集人数や社数が高水準になる可能性がある。
出典・日本経済新聞2022年1月20日発行より
自己都合の退職や、いわゆるクビの会社都合の退職とは違い、希望を募る早期退職優遇制度は退職金の割り増しなど優遇を受けられることもあり、セカンドキャリアへ進みたい人にとっては追い風となるでしょう。
第二の人生としてセカンドキャリアを考えるにはいいタイミングです。
30代は新卒として入社した20代から10年ほど経ち、仕事にも慣れそれなりのポジションを任されている人も多いと思います。
しかし、厚生労働省の発表によると、令和2年度の新卒就職者の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者で約4割(36.9%)、新規大卒就職者で約3割(31.2%)です。(参考・厚生労働省 報道発表資料2021年10月 )
3年以内が3,4割ですので、30代はさらにそれ以上の割合で2社目、あるいは3社目の会社で勤務していることが予想されます。
30代は中途採用の募集も多いので、転職のハードルは高くありません。
しかし、単なる転職ではなく、これから先の将来をどう生きたいのか、どういった仕事ならそれを実現できるのかライフプランとともにキャリアビジョンを立てましょう。
40代はキャリアも経験も積み、ファーストキャリアの知識とスキルが自身の武器となっていることでしょう。
しかし、ファーストキャリアの最終到達点も見え、この先このままでいいのか悩み、違うキャリアが見えてくるのもこの頃かもしれません。
新しいキャリアに挑戦するにしても、今まで積み上げた経験とスキルは自分の土台となり生きているはずです。
転職にせよ、独立、起業にせよ、セカンドキャリアに進むには自身の今のスキルと能力を客観的に見つめ直し、自分に足りないことと、これからやりたいことを考えましょう。
50代は数年後にせまった定年後の人生を現実的に考え始める年齢です。
定年より少し早く早期退職し、人生100年時代に備えセカンドキャリアを迎えるパターンもあります。
しかし、新型コロナウィルス感染拡大により、オンラインのコミュケーションが増え、働き方が大きく変わりました。今まで出社して仕事をするのが当たり前だった50代は今、適応力が試されています。
今まで培ったスキルと過去の栄光を武器に新しいキャリアを見つけようとしても、社会の急激な変化に適応していかなくては太刀打ちできません。
謙虚な心で新しいことも受け入れる柔軟な姿勢が大切です。
年金受給年齢が65歳に引き上げられ、60歳で定年とする企業が減少し、65歳までの雇用確保措置のある企業は9割を超えています。
70歳以上まで働ける制度のある企業は31.5%、定年制廃止企業も3%と若干ですがあります。(参考・厚生労働省 報道発表資料 2021年1月 より)
多くは今まで働いていた企業での再雇用ですが、少子高齢化で働き手は減少しているので、豊かな経験を持つシニア層を求めている企業はより多くなるでしょう。
充実した毎日を送るため、社会との繋がりを持つセカンドキャリアを考えましょう。
従業員のセカンドキャリアを支援し、セカンドキャリア研修や、資格取得のための教育費の支援、転職活動を行う際の休暇付与などの制度で中高年齢者の雇用の流動化を図る企業もあります。
以下は60歳以上のシニア層対象のセカンドキャリアに特化した公的機関のサービスです。
公益財団法人産業雇用安定センターが行っているキャリア人材バンクは、就労意欲が高い60歳以上への就労先支援紹介を行っています。
まだ働きたいがどのように就職活動をしたらいいかわからないという方と、高年齢者採用に興味のある企業のマッチングをし、履歴書、職務経歴書の書き方から面接の受け方まで指導してくれるので、終身雇用で働き転職活動をしたことがないシニア層もセカンドキャリアに前進できます。
東京で発足した公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会は、定年後もなんらかの形で就業し続け、高齢期を有意義に過ごしたいというシニア層が増えてきたことを背景に発足。その後、国の補助事業として全国的に事業展開されました。
臨時的、短期的かつ軽易な就業を希望するシニア層が、地域に密着した仕事で生きがいを得て、活力ある地域社会を作るという発想が共感を得ています。
新卒や第二新卒といった20代、30代の転職エージェントサービスが多いなか、ミドル層、シニア層に特化した転職サイトがあります。
『若手には負けない、経験がある』と40代以上に特化した転職サイトです。
近年、年功序列制が崩れつつあり、ミドル層、シニア層の給料が伸び悩む傾向にあります。45歳以上の転職希望者が増え、企業側も少子高齢化による人手不足からミドルシニア層の採用ニーズが増加しています。
ワクティブは、40代以上の求人が約8割、年収600万以上の求人が約8割という特徴があり、この世代の方にはお勧めです。
40〜50代の求人情報だけを掲載している転職求人サイトです。
利用する時に年齢や年収、経歴などの制限がなく、いわゆるハイクラス向きではなく経歴に自信がない人でも安心して利用できます。
新卒や第二新卒といった若手とは違い、セカンドキャリアでは経験値やスキルが求められています。企業は一から教えるのではなく、専門的分野の知識や技術、指導力を望み、即戦力として期待し採用します。
今までとは違う分野への希望であっても、社会人経験として誇れるものがあるはずです。
それらが新しい組織に良い影響を与えることを求められています。
今まで働いていた仕事を離れ、新しい道に進むということは非常に勇気がいるし、強い決心が必要です。
セカンドキャリアを成功させるためには、自分が何をしたいのかを明確にし、自身のキャリアを長期的な視点で捉えましょう。
今の自分のキャリアの棚卸しをすることで、客観的に自分の武器を見出すことができます。
そして、将来の理想とする自分と照らし合わせて、足りないスキルを得るために何をしたらいいのか考えましょう。
選択したセカンドキャリアに資格が必要な場合や、持っていた方が有利な場合は取得することで転職活動や起業がスムーズに進みます。今までとは違う分野でも資格取得に向けた勉強をすることで知識を得ることができるので、勉強を始めるのは早い方がいいでしょう。
セカンドキャリアに人気のある資格は
*行政書士や会計士、税理士、社会保険労務士
独立や起業が可能で、定年がないためシニア層でも活躍が見込める資格です。
*ビル設備管理技能士、建物環境衛生管理技術者、マンション管理士
いずれもシニア層の求人に多く、経験豊かなシニアにこそ向いている仕事です。
*ファイナンシャルプランニング技能士(FP)
個人の資産、負債、家族構成などから家計診断や保険の見直し、資金計画などをアドバイスする専門家で、金融、保険や不動産業界などに在籍していた人に人気の資格です。家計のアドバイスということでミドル層、シニア層の女性FPも活躍しています。
*介護福祉士
高齢化社会でますます需要が高まっているのが介護業界です。
誰かの役に立つ仕事がしたいと、シニア層の女性にも人気の資格で、介護福祉士の資格を取って5年間実務を経験するとケアマネジャーの受験もできます。
特別養護老人ホームやケアホームなど勤務場所の選択肢が多いのも魅力です。
IT技術の進化や感染症拡大予防による社会の変化など、働く環境は凄まじいスピードで変化しています。近年、リモートワークでのオンラインコミュニケーションについていけない等、変化に対応できないシニア層、ミドル層の存在が明らかになりました。
法律で70歳までの就労機会の確保が努力義務となりましたが、一定の年齢になると役職定年や、早期退職、配置転換などを行い、給料の減額などで雇用調整をする企業が増加し、シニア層のモチベーションが低下しています。
セカンドキャリアを成功させるためには、好奇心を失わないことが大切です。
年齢とともに新しい物への興味が疎くなりますが、好奇心を失わず新しい物に敏感でいることは、自身の今まで培ってきたスキルと知識に相乗し、セカンドキャリアに活かされるでしょう。
セカンドキャリアで新しい環境に飛び込むということは、新しいことを学ぶということです。前職のやり方や方針を持ち込み、頑なに変化を避けることは自身にも周りにもマイナスの影響を与えます。
新しい環境では積極的、かつ主体的に学ぶことが重要です。
資格取得もそうですが、勉強をするということは自分の引き出しを増やし、新しい道を切り開くことになります。
これからますますテクノロジーが進化し、働き方も変わり、今ある仕事も変化してくるでしょう。
終身雇用はますます過去の物となり、誰もがセカンドキャリアを考える時代になります。
目先の収入や条件だけではなく、長期的なライフプランを考え、充実したセカンドキャリアを築いていきましょう。
参考・『中高年齢者のセカンドキャリア支援に関する考察』 安 煕卓著
転職Hacks 『 セカンドキャリアとは? 役立つ資格や支援制度も紹介』
Schoo『セカンドキャリアとは?年代別の目的からセカンドキャリア成功の要因などを解説』
PASONA 『【年齢別】セカンドキャリアの見つけ方・考え方って?転職に必要な準備とは』