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働く女性はケアよりフェアを求めている

働く女性はケアよりフェアを求めている

2019/11/26

働き方改革法案が施行されて半年以上が経ちました。

「大企業だけが取り組んでいるイメージがあって、うちの会社はまだまだ。」

そう思ってる人もいるかもしれませんね。

しかし、来年の4月から中小企業にも残業規制が適用になります。ついに残業削減に向けて具体的に動き出した会社も多いのではないでしょうか?

子育てや家事をしながら働く女性にとって、残業がなくなるのは嬉しいですよね。

でも、仕事を途中で放りなげて帰るなんて嫌だ、もっと働きたい!という声もあります。

働き方改革で働く人へのケアが重視されるようになりましたが、もっとフェアに働きたいという女性も多くいます。

「ケアよりフェア」

あなたはどういった働き方をしますか?

 

 

目次

1、働き方改革とは

1985年に男女雇用機会均等法が成立しました。

30年前の25歳~29歳の女性の就業率が50%程度だったのに対し、今は80%以上の女性が就業しています。(総務省統計局調べ)

 

また、女性の高学歴化は、就業にプラスになり、女性の自立を促しました。

結婚、出産をし、家庭を持つということ以外の選択肢の広がりは、結果として、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少をもたらしました。

 

そして、育児や介護との両立など、働く方のニーズも多様化しました。結果、生産性向上とともに就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境が求められました。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

出典:政府HPより

 

2018年6月29日に、ワークライフバランスの向上を図り、残業時間の上限規制や、有給休暇取得の義務化、同一労働・同一賃金の原則、高度プロフェッショナル制度の創設などが働き方改革関連法案として成立。2019年4月1日に改正法が適用開始されました。

 

まずは大企業から適用され、中小企業はまだの箇所もありますが、今回の法案の目玉、残業時間の上限規制は2020年4月からついに適用開始となります。

出典:SmartHRより

 

2、女性が感じる働き方改革

働き方改革は、一億総活躍社会の実現には女性の就労が大切だとしています。

働く女性は19年に初めて3000万人を超えました。(厚生労働省より)

 

同一労働・同一賃金の適用で非正規社員のパートタイマーで働く人にもフェアな賃金を与えることを約束し、残業時間の上限規制は、子育てや介護をしながら働く人にはより不可欠な改革です。

大企業から始まった働き方改革が今後、中小企業にも適用されていきます。

しかし、会社から言われるがままの働き方改革では、納得して働くことができないでしょう。受動的ではなく、より能動的に働く、自分で自らの働き方を改革する必要があります。

 

”残業続きで家には寝に帰るだけ”という状態から、”残業してはいけません”と会社から言われたらどうなると思いますか?

「ラッキー」と思うか、「それじゃ仕事終わらなくて困る」と思うか。もし、仕事量が変わらないのであれば、日中の限られた時間をどう使うかが重要になります。

 

今までは夕方や夜から始まっていた会議を、日中の隙間時間に行うミーティングに変えたり。立ったまま会議をしたりなど、今までの仕事のやり方を変え、限られた時間の中で生産性を上げていく必要があります。

 

政府は1990年代、本人の申請があれば育児や介護で一定期間の休みを認めるよう、企業に義務付けました。

より働きやすい職場を作るという流れのきっかけになったのは、働く女性が増えてきたことに他ありません。

それから30年経ち、女性たちへの束縛は少しずつ解放されたように思えます。

”一般職採用は結婚までの腰かけ程度で、総合職採用は男性同様バリバリ働く”

という従来の定説を知らない世代が就職し、より男女フェアな働き方が求められているからです。

それでも、男性の育児休暇の取得率は2018年度は6.16%(厚生労働省調べ)

女性の課長職以上の管理職割合は平均7.7%(帝国データバンク調べ)と、まだまだ低いのが現状です。

これから企業は、働き手の多様化に柔軟に取り組むことが不可欠です。

 

花王株式会社は2018年7月、社員が始業・終業の時間を決めるフレックス制を一歩進め、1日に勤務しなければならない時間の規定を廃止しました。

これは、仕事も家庭も大切にしたい人の意欲を支える仕組みです。

午後早くに帰宅した社員は、家族と過ごすためこれを使い、休んだ分は1時間単位で他の日に働くという選択ができます。

全社員がそれぞれの事情で休みを取れるため、職場の居心地の悪さが解消されたといいます。また、時間をやりくりして生産性を高めようという思いも強まったそうです。(参考・日経新聞)

 

この花王の話は、育児、介護などの理由なくして取得できない制度ではないことがポイントです。

従来の育児休暇、介護休暇はその名の通り、目的があっての休暇制度です。

働き方改革が進む現場では、一部の人をケアする制度に、特別扱いしているという不満の声が上がっています。

育児や介護をしていない人にとってフェアではありませんよね。

育児、介護中の人も、休暇を取るのに引け目を感じ、「すみません」とお互い謝っている職場だとアンフェアな気持ちが生まれます。

解決策のひとつとして、性別や子供の有無にかかわらず柔軟に働けるフェアな仕組みが広がっています。

3、もっと働きたい!という思い

ワークライフバランスを重視する流れの中、働き方改革は女性たちに良かれと思って休日を増やしたり、仕事を減らす策を取ってきました。

しかし、果たしてそれが、全ての女性たちにとって良策だったのでしょうか?

 

アパレル大手の会社は、育児中の販売員は日曜日休みと基本なっていたが、店舗が忙しい日曜日に人手を確保するため、育児中の女性にも月1回は出勤してもらうことにしました。

社員4千人弱の9割が女性で、育児中の週末出勤は仕事そのものへの意欲を奪うとの懸念がありました。

しかし、平日より忙しくて予算も大きい休日に売り上げを増やすことが、自信につながったとやりがいを感じている社員も多いそうです。

 

また、ある物流業界の会社は、女性たちには重い荷物、長い拘束時間は厳しいと、仕事の制限をしてきました。

男性の職場と言われる物流業界。女性たちを過保護に扱う一方、キャリアを積みたいという意欲を汲むことはなかったということでしょうか。

その会社は現在、女性社員の上司を対象に、部下の意欲を汲み取る研修を進め、女性活躍を進めているそうです。

良かれと思って仕事を減らすと、意欲を失ったり必要なキャリアを積めなくなったりします。

もっと働きたい、キャリアを積みたいという女性たちを活かすには、管理職の意識改革が欠かせません。(ともに参考・日経新聞)

 

今までは、私生活より仕事でバリバリ働きたい、キャリアを積みたいという「バリキャリ派」と、家庭重視で私生活を大事にしたいという「ゆるキャリ派」という二元論で働く女性たちを区分してきました。

しかし、今は「仕事も家庭も、どちらとも頑張りたいフルキャリ派」が増えてきています。実はこの層、働く女性の5割も占めているということです!

企業はこの層の存在をわかっていなく、働く女性についての捉え方が古いようです。

だから、育児や介護中の女性にケアを重視し、働き方をフェアにするということは考えていないのです。

 

4、働く喜びは自分で決める

六本木にある株式会社メルカリは、社内制度に「メルチップ」というものがあります。

それは,社内で同僚や先輩、後輩に感謝の気持ちやねぎらいを伝えあうピアボーナス制度で、メンバー同士が感謝の気持ちを一定額のインセンティブにして贈りあう仕組みのことです。

 

例えば、会議の資料作りに追われ忙しくしていたら、それを見た部下が仕事を引き受けてくれた。その部下へ「THANK YOU」という絵文字と共に「メルチップ」39ポイントを授けた。という使い方をしています。

ピアとは英語で同僚や仲間を指します。仕事で助けてくれた人に、手持ちのポイントから贈呈でき、もらったポイントは「1メルチップ=1円」に換算し給与に上積みされます。

毎月メルチップを集めても、缶コーヒー2~3本を買えるかどうかの金額だと言いますが、助けてもらって嬉しいし、受け取った方も喜んでもらえるし、メッセージも贈られて嬉しいというハッピーなシステムです。

SNSの「いいね!」の感覚で、仕事お疲れ様の「いいね!」をあげている感覚で、実は個々人の仕事への貢献を『見える化』できています。

自分がした仕事への貢献、会社への貢献を、給料で反映されるより、手に取るように早く実感できるのは、モチベーションに繋がり、働く喜びになります。

社員同士、「この間はありがとう」「あれ、良かったよ」「おめでとう」と新たな会話が生まれ、コミュニケーションが活性化されることも期待できます。

 

この、IITを使ったピアボーナスは米グーグルが先駆けです。違う部署同士でも評価ができるよう業務外の働きに報いるためピアボーナスを導入しました。

自分のちょっとした気遣いや、ヘルプが、その人から目に見える形で感謝される社員同士の「いいね!」、嬉しいですよね。

 

このように、会社は社員を評価し、それ相当の給与を与えることで従業員満足が達成されると考えがちですが、私たちは自分で働く喜びを見いだせるのです。

リクルートキャリアが就業者4万人を対象に実施した調査によると全体の71.7%が「『働く喜び』は自分で増やせると思う」と答えました。

会社が考えている社員像と、働く私たちの考えはズレが生じているようですね。

5、まとめ

「出張は子育て中の女性には無理だろうから、違う人に任せよう。」

「このプロジェクトは残業を伴う仕事だから、家庭がある女性ではなく、違う人へ。」

といった親切心から出た行動が、フルキャリ派の女性たちの仕事の幅を狭め、結果としてチャンスをはく奪しています。

大切なのは部署内、チーム内でコミュニケーションをしっかりとり、一人一人に寄り添うこと。

どういう思いで働いているのか、これからどう働きたいのか。

個人個人の状況が異なり、考えがある中、会社が画一的な対応を取っていては、お互いに成長が望めません。

「ケアよりフェア」

これは、これからの働く女性への応援となるはずです。

 

 


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