新型コロナウィルスによって変わった働く女性の意識
2020/3/13
2020年1月中国から始まり、日本でも感染者が増えている新型コロナウィルス。
感染拡大を防ぐため全国の小中高校が休校になったり、スポーツ、文化イベントが中止になったり、突然の出来事に日本中で混乱が起きています。
会社もテレワークや時差出勤を推奨し、社員を守り、経済活動を続けられるよう奮闘しています。今回初めてテレワークをしたという方も多いのではないでしょうか?
感染症という目に見えない災いを前に、誰もが「働く」ということ、「生活」ということを改めて見つめたと思います。
私たち働く女性は何を考え、どう変化が訪れているのでしょうか?
目次
2019年12月末、中国で原因不明の肺炎が発症
2020年1月上旬、新型コロナウィルス検出
1月中旬、日本で初の陽性患者
1月31日、WHO緊急事態宣言
2月中旬、中国の死者1000人超える
2月20日、厚生労働省イベントの開催の必要性を検討するよう発表
2月中旬~下旬、海外渡航歴、発症者との接触ない人が感染判明
2月26日、安倍首相、スポーツ、文化イベント2週間活動自粛要請
2月27日、全国すべての小中高校に3月2日から春休みまで臨時休校要請
2月28日、北海道緊急事態宣言、外出を控えるよう要請
3月5日、中国、韓国からの入国大幅制限
3月9日、スポーツの開催3月末まで中止が決定
3月11日、WHOパンデミック宣言
武田薬品工業は2月17日、全拠点の5200人超の従業員を対象に通知を出し、出勤が必要な場合でもフレックスタイム制を活用して通勤ラッシュの時間帯を避けることも勧めました。
NECは2018年に全社員対象に回数制限なく在宅勤務ができる制度を導入していますが、今回、制度を積極的に使うよう呼びかけました。
2月20日には東京五輪の期間中の予行演習として、生産現場や保守担当者を除く国内約6万人がテレワークを実施。全社員にスマートフォンやノートパソコンを配布したほか、シェアオフィスで働ける環境を整えました。
KDDIやソフトバンクも時差出勤や大規模なセミナーや会議の開催や参加を原則自粛するよう通知。
資生堂は2月26日から3月6日まで、国内全従業員の3割にあたる約8000人を対象に原則出社を禁止しました。
工場や店頭勤務などを除き社長ら役員も出社せず、在宅勤務に切り替えました。
電通も26日から東京・汐留の本社ビルに勤務するグループの全従業員約5000人を対象に在宅勤務に切り替え。
ソニーやNTTグループなどテレワークを推奨する企業が急増しました。
その他にも、在宅勤務の上限回数を当分の間、撤廃したり、混雑しない時間帯の出退社になるようフレックスタイム制を活用するよう呼びかけたりしている企業が増えています。
新型コロナウィルスの感染拡大を機に、企業も既存の制度が浸透してきた例もあります。
在宅勤務は、利用者が少ない、該当者が少ないといった理由で眠っていた制度だという企業も少なくありません。
パソコンと電話さえあれば家で仕事ができるので、今回のような非常事態には最適です。しかし、ネットワークの整備やセキュリティ対策もしないといけないので、急に始められるものでもありません。
今回の件で、テレワークの整備は企業にとって責務であり、経営は危機管理の徹底が不可欠だと感じた方も多いでしょう。
2011年3月11日に起きた東日本大震災から9年。
新型コロナウィルス感染拡大防止の影響で追悼式が中止となったが、今回の感染症の恐怖と混乱に3.11を引き合いに出す声は多くあります。
3.11によって今までの価値観が大きく変わりました。
いかに物の文明が進歩しようと、あの規模の災害が起きると、一瞬で跡形もなく壊されてしまう。
大切にしていたものが本当はそうでもなかったり、側にあって当たり前の人や物が心か必要だと認識できたり。
当たり前の生活が一瞬で崩れていく経験は、真の幸せとは何か?本当に大切なものは何か?を深く考えさせてくれました。
今回の新型コロナウィルスで、コロナウィルス感染拡大防止による自粛の世の中で、街も店も交通も閑散としています。
この先どうなってしまうのか、身の安全とともに経済の行く先も不安ですよね。
3月10日付の日本経済新聞に、収束までの期間は見えませんが、危機後の風景を予測してみるという記事が載っていました。
北海道網走市のアウトドアガイド、田中さんは「Beat the Corona(コロナをぶっとばせ) Project」と題した企画を立ち上げ、道内の子どもに呼びかけました。
ただし1カ所に集まれと言ったのではなく、自宅周辺などで作った雪だるまの写真を投稿してもらい、5点にネット通販の商品券を贈るという企画です。
「知事の外出自粛要請を受け、子どもたちに外で遊ぶきっかけをつくらなければと考えた」と田中さん。子どもも大人も家に閉じこもり孤立していては精神的なマイナスが大きい、雪だるまを作ることによって、親との会話が生まれ、他人の投稿写真を見れば心もなごむという、楽しくなるような企画です。
換気のない密室の空間がNGならと、アウトドア活動にも注目が集まり始めています。
茨城県でバーベキューの食材や器具を提供する会社では、「トングを触るのは1人だけ」などと指導しながら客を受け入れています。
屋外だから換気もよく、他人の入らない私有地などでも開催可能」とメリットを伝え、一人で楽しむ「ソロキャンプ」も人気だといいます。
令和の時代、盛んになるのはイベント型消費とみられていました。
ハロウィーンパーティー、アイドルの握手会、映画館での「歓声や歌もOK」の応援上映会、皆で踊って楽しむ音楽公演などです。
新型コロナウィルスは、そんな人が密集する場の危険性を浮き彫りにしました。
いずれ人出は戻るでしょうが、同じ場で同じ時を赤の他人と過ごす面白さから、1人から内輪の時間へ。そんな意識の転換があってもおかしくありません。
かつて、昭和天皇の健康状態が悪化した1988年秋からの約4カ月。「自粛」という言葉が広まるきっかけになった当時、バブル景気による浮かれ気分を見直す空気が生まれ、「物」から「体験」へという価値観の転換の引き金となりました。
阪神大震災では、ローンを抱えたままマンションが倒壊した人たちのニュースが、日本人の持ち家主義にブレーキをかけ、東日本大震災では高齢者や女性のコンビニエンスストアの利用率を上げました。
クラウドファンディングやふるさと納税のように、共感や応援で経済が動くようになりました。
今回の外出、イベント、集会や宴会の自粛は、何をもたらすでしょうか?
地方創生のブームもあり、人の少ないことの良さに目を向ける人がいるだろうと予想されたり、大型クルーズ船の代わりに小型船の貸し切りが人気になるかもしれません。
音楽や演劇の公演も屋内が難しいなら青空の下でとなるでしょう。
教育も集まって教える教室型から、ITやVRを使ったシステムへ移行が活発になるかもしれません。
人々が求めているものを、安全・安心を保ちつつ提供し、喜んでもらい、信頼を得る。それが「自粛後」に繋がります。
引用参考:日本経済新聞3月10付
政府は新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために、有給休暇の取得やテレワークを推奨しています。
制度が整った大手企業でも正社員のみならず、派遣社員などの非正規社員にも在宅勤務や自宅待機という対応を求める動きが出てきました。
なかでは、正社員は在宅勤務だが、派遣社員は自宅待機としている企業も多くあります。
実は、派遣社員の場合、簡単にはテレワークに移行できません。
派遣先の企業からテレワークにしてほしいという要請があった場合に、人材派遣会社が、その社員が自宅で働ける環境なのかを確認します。そして大丈夫だと判断してから、テレワークをスタートする仕組みです。
テレワークを前提としないで雇用されている派遣社員が多いため、こうした手続きが必要になります。
一方、正社員は会社の上司の許可があればすぐにテレワークができます。
派遣社員は手続きの必要性から本当に自分はリモートワークができるのかという不安に繋がっているようです。
参考:日経doors
まして、自宅待機となった非正規雇用の方は自宅待機となったら、休業手当も払われないケースもあるようです。
幼稚園、小学校などに通う子どもの臨時休校に伴い、仕事を休まざるを得ない場合は、正社員、非正規社員関わらず、休暇中に企業が支払った賃金の助成金が支給されることになりました。
しかし、子どもがいない非正規社員は減収が避けられません。
フリーランスで働いている人はさらに困窮しています。
案件ごとに業務委託契約を結ぶ場合が多いフリーランスは、会社員と違い、仕事がなくなっても手当や補償が出るわけではないからです。
政府はフリーランスも仕事を休んだ保護者に日額4100円を支援し、収入減に対応して生活費の無利子の融資を行うことを発表しました。
これも、臨時休校に伴う措置となっています。
卒業式シーズンでかき入れ時のフォトグラファー、スポーツジムのインストラクター、コンサート中止のあおりを受ける音響デザイナー、照明屋、研修やセミナーの講師など、フリーランスが多い業界の人たちは、1か月仕事がなくなった人もいます。
感染防止拡大のため自粛はしょうがないとわかるけれども、出口が見えないので不安が増すばかりです。
働き方改革で進めていたテレワークが一気に普及したのは、長い目で見ればプラスでしょう。しかし、経済の冷え込みで仕事が減った非正規社員、フリーランス、個人事業主はシビアになるでしょう。
テレワークで場所や時間にとらわれず働けるなら会社員にいったん戻るのも選択肢の一つと考える人も出てきます。
また、幼い子どもを抱えて自宅で仕事をするのはやはり厳しいと短時間で働ける非正規社員を選択する人もいるでしょう。
対面での仕事に不安を持ち、人との接触が不要なインターネットを使ったサービスに移行する流れもあります。現に中国ではインターネットの積極的利用が教育の現場で盛んになっているそうです。
パンデミックとなった新型コロナウィルスは働き方を見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか?