アフターコロナは新しい選択肢が広がる
2020/6/10
コロナ禍は狭いエリアで人が密集する都市ほど、感染のリスクが高くなりました。
大雪や台風などの自然災害でも度々、交通網がストップし混乱が生じるなど、都市のもろさが露わになりますよね。
リモートワークが定着したことによって、「都心にこだわらなくても働ける」そう考える人が増えているそうです。
リモートワークで働き、自然豊かな地方に住み、綺麗な景色を見ながら生活できる。
コロナ禍は私たちに、これからどう働きたいか、どう暮らしたいか、何を重視し生きたいかを考えさせてくれました。
あなたは何を感じ、どう考えますか?
目次
つい数か月前までは、毎日、満員電車に乗り通勤することに何の疑問も持ちませんでした。
仕事のために出社するのは当たり前で、会社では会議に出席し、議事録を作成。他、書類を作成し印刷、押印、ファイリング、外回りから帰ってきた営業と打合せ、メールチェックなど、作業をこなし、気がつくと就業時間が過ぎていて急いで帰宅をする、という毎日です。
これが新型コロナウィルス感染拡大防止のため、「人との接触を8割減らす」という政府からの要請で、仕事のやり方がガラッと変わりました。
通勤がなくなり、在宅勤務に。
出退社はパソコンのログイン、ログアウトで。
会議はWeb会議、書類作成後の印刷、ファイリングがなくなりデータを保存。
外回り営業はメールやチャットツール、押印は電子印鑑や電子署名に。
不要な会議がなくなり、チームの進捗状況は共有している営業管理ツールを見ればわかるといった具合です。
今までは企業や社会が働き方改革を進めていました。
しかし、それは「在宅勤務はいつまでに何%の社員に適用させようか」「リモートワークをするにあたって、必要な申請書類を作らなきゃいけないかな」という制度のスタート地点であった企業が多かったと思います。
それが急に「社員を3密の危険にさらす通勤を強いるなんて、社員を大事に思っていない会社だ」という世論までなってしまいました。
在宅勤務になってから、
「職場の空調が合わずに、夏でもカーディガンと膝掛けが手放せずにいたのが、家だとその心配がない」
「パワハラ、セクハラ、モラハラから解放された」
というストレスから解放されたという声もあります。
さらに、
在宅勤務を定時で終えた後は、家族と一緒に夕食を作り食事をする。
就寝前に子どもと遊んだり、絵本を読んだり過ごすことができる。
お菓子作りやパン作りだってできてしまう。
化粧をしてないから肌の調子が良いけど、美白パックもしてさらなる美を目指そう。
など、時間がないとできないことに目を向けられるようになりました。
コロナ禍によって、仕事中心で動いていた忙しい日々から生活の質が向上されました。
コロナ禍で生活がガラッと変わると、始めのうちは慣れることに一生懸命ですよね。
多くの働く人は、自宅は仕事から帰ってくつろぐ場所、眠る場所でした。
自宅は働く場所ではなかったので、パソコン周りの環境、例えばデスクとチェア、ヘッドセット、ワイヤレスキーボード、モニターなどを購入し整える必要があったり、Web会議で映ってしまうから部屋の掃除をしないといけなかったり。
最初は大変ですが、整えてしまうと、隙間時間に自炊や掃除ができたり、住空間を気持ち良くしたいという気持ちが働きます。
自分の中で、仕事が第一の優先事項だったのが”生活”に重きを置くようになりました。
コロナ禍から抜け出そうにも、初めて遭遇する禍で、誰も答えを持っていません。
先行きが見通せない経済状況の中、
「今ある仕事もいつまで続くかわからない」
「リモートワークで業務が回っているのなら、満員電車に乗って通勤する意味があるのか」
「コロナ禍で変わった生活をこれからビフォー・コロナに戻していいのか?」
そういった不安や疑問はわたしたちの意識を大きく変えました。
「会社に行かなくても働ける」「リモートでも働ける」ことが認知され、地方への移住を考える人が増えているそうです。
千葉県柏市のソフトウエア開発を手掛けるフラーは新潟県に移住を決めました。
新型コロナの影響で4月以降、在宅勤務をしていたが、「どこに住んでいても仕事には支障がない」と感じ、新潟オフィスを拠点として、必要なときだけ千葉の本社や東京に出向くそうです。
在宅勤務で打合せや会議は全てWeb。
移動時間や移動のための準備も不要なため、10時から1時間アポを入れたら、11時には他のアポを入れられる。こんな効率のいい働き方をしていると、以前の働き方には戻れないといいます。
食も自然も豊かな故郷の新潟に住み、必要なときだけ東京に行けばいいと考えるように。
東京までは新幹線で最速1時間40分。パソコンを広げゆっくり仕事もでき、都内の満員電車より移動時間も効率的に使えるとあって、地方移住のメリットを感じているそうです。
(参考・日本経済新聞5月26日)
就職情報サービスの学情が4月24日から5月1日に実施した20代の転職希望者への調査で、「U・Iターンや地方での転職を希望する」と回答した人は36.1%と、2月に比べて14.3ポイント増加しました。
感染への懸念や地元への貢献意識の高まり、働き方の見直し意識など理由として挙げられました。
出典:PRTIMES
今回のコロナ禍は生活や働き方など様々な面で人々の意識を大きく変えようとしています。
「どこに住み、どこで仕事をしたいか」
リモートワークの定着によって、狭いエリアで人口が密集する都心にこだわる理由がなくなりました。
そして、答えの一つとして「地方」を選ぶ人がこれから増えそうです。
また、若い人たちに高まっているのが「貢献意識」です。
就職情報のマイナビが21年3月卒業見込みの大学・大学院生を対象にした「就職意識調査」で、新型コロナの感染が拡大した20年3月時点で「楽しく働きたい」と回答が減り、「人のためになる仕事をしたい」と回答した学生が増えました。
出典・マイナビ「2021年卒大学生就職意識調査」
社会的な大きな混乱が起きると、社会の役に立ちたいと考える若者が増えます。
2012年1月の内閣府調査では、20~29歳の70%が社会貢献したいと回答しました。前年から10ポイント超と大幅に増えたのです。
そのきっかけは2011年3月に起きた東日本大震災でした。
ただ当時との違いがあります。それはハードルの低さです。
インターネットが身近にあり、どんな情報も入手できるし、拡散できるという社会が、社会貢献をより簡単に実現可能なものとしました。
「外出自粛の影響で売れ残ったハーブを泣く泣く廃棄している農家が多い。なんとか助けられないか」。
埼玉県の会社員がニュースで農家の窮状を知り、ボランティア活動を探しました。
後日、和菓子材料販売の会社が企画する、売れ残ったハーブから入浴剤を加工・販売するプロジェクトへの参加が決まったといいます。
これは、「プロボノ」と呼ばれる仕組みです。
「公共善のために」を意味するラテン語の略で、ボランティア希望者を中小企業、地方自治体、NPO法人などに仲介してくれるシステムです。
(出典・日本経済新聞5月27日付)
20年4月にはプロボノサービス「ふるさと兼業」の登録者は3月の2倍強に増えました。
登録者の多くは20~30代で、コロナ禍に関する社会貢献だけではなく、地方移住を目的にしている方も多いといいます。
新型コロナウィルスがもたらしたのは、先進のコミュニケーションシステムを活用した新たな生活様式の中で、何が一番大切か、何を優先して生きていきたいかという価値観の変化です。
「働く」ということと「生活する」ということ。
これからは経済的な成功よりも、暮らしや住まいの環境を優先する人が増えるでしょう。
今、「ビフォー・コロナの方が良かった」と嘆き立ち止まっているのではなく、ビフォーコロナには戻れないことを心得て、変化の出発点に立ちましょう。
「会社に依存していては危ない、自分の思う生き方ができないと思ったら専門スキルを磨いてフリーランスになろう。」
「都心では3密は避けられない。台風、水害、地震のことを思うと都心は脆弱だ。地方へ引っ越そう。」
「これから先、ITリテラシーの低い上の年代に人事評価されるのは納得いかない。転職しよう。」
アフター・コロナは新しい選択肢が広がっています。
何を考え、判断基準とするのか人それぞれですが、これからの時代、何が起こるかわかりません。変化への対応力を磨き、正解を求めようとするのではなく、正解を作り出していく決断力が重要でしょう。