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オリンピックに向けて私たちが準備しなきゃいけないこと

オリンピックに向けて私たちが準備しなきゃいけないこと

2019/3/20

写真出典:TOKYO2020

早いもので2020年の東京オリンピックまで後一年半となりました。

競技が行われる予定の各施設は急ピッチで建築が進められています。

しかしオリンピック関係の建築に作業員、職人らが借りだされ、他現場で人手不足になっています。

またこの世界最大規模のスポーツの祭典に世界中から人が集まります。交通網の混乱はどうするのでしょうか。

東京オリンピックまでに取り組むべき問題を一緒に考えてみましょう。

 

目次

1、2020年東京オリンピックについて

東京2020オリンピックまで500日を切り、先日、各競技のピクトグラムが発表され話題になりました。

東京オリンピックは2020年7月24日に開会式、そして25日には大半の競技がスタートし、8月9日の閉会式まで史上最多の33競技・339種目が42の競技会場で開催されます。

パラリンピックは8月25日開会式、9月6日閉会式となっており、22競技が開催されます。予定されている参加国は204カ国、地域です。

 

1964年以来、54年ぶりに東京でオリンピックが開催されるとあり、組織委員会だけでなく東京都、経済界、地方自治体や関係団体等などでオールジャパンを結成し、大会の成功に向け一丸となって取り組んでいます。

実は2回もオリンピック・パラリンピックを同一都市で同時に開催するのは史上初ということをご存知ですか。

インバウンドなどの経済効果に目が向きがちですが、純粋に世界中の最高のアスリートが、国や地域のしがらみ関係なく、スポーツで競う姿に心打たれるあの感動が間近で行われることはとても喜ばしいことですよね。

 

東京2020大会の大会ビジョンでは、

”スポーツには世界と未来を変える力がある。1964年大会は日本を変えた。東京2020大会 は世界にポジティブな改革をもたらす大会とする。”

と目標を掲げています。

 

世界中から最高のアスリートが集う世界最大のスポーツイベントであるオリンピック・パラリンピックには無限の力があります。

社会の多様性が盛んになっている今、オリンピックはもちろん、パラリンピック大会に意義があるとされています。

大会コンセプトはこうです。

「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」

人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩する。

出典・TOKYO2020 HPより

写真出典:TOKYO2020

世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育む契機となるような大会となるように。

次の世代へ繋がるレガシーが生まれるように。

東京オリンピック楽しみですね。

写真出典:TOKYO2020

2、東京オリンピックと交通渋滞

開催地は主に二つのゾーンに分かれています。

開、閉会式が行われる東京千駄ヶ谷の新国立競技場のあるヘリテッジゾーンと、有明、お台場の東京ベイゾーンです。東京ベイゾーンの晴海には選手村も作られています。

幕張メッセや横浜スタジアム、さいたまスーパーアリーナ、札幌ドームなど全国40カ所で競技が開催される予定で、大勢の移動が予想されています。

試算によると、海外選手・スタッフ・ボランティアや観光客などを含め、期間中は延べ1千万人が東京にやってくるいいます。

ただでさえ、東京都心の電車の通勤ラッシュは大変な混雑で有名です。

オリンピック競技開始時刻と通勤ラッシュ時間帯が重なることも予測されています。

新宿駅は通常の2倍、四ツ谷、新木場は3倍もの乗客になり、多くの路線で乗車率が200%になると予測が打ち出されました。

 

首都高速道路も例年7、8月は特に交通量が多いのですが、オリンピック期間中はさらに混雑することが予想されます。

選手や大会役員の輸送で専用バスや乗用車など約6千台が選手村や競技場、成田・羽田空港などを往来することになります。さらに、観光客の輸送や食料品や飲料、日用品など貨物を輸送する車両が都心に溢れるでしょう。

1日約110万台が通る首都高では交通渋滞が現状の2倍近くになるという試算です。

 

交通渋滞を緩和させる方策として、都や大会組織委員会は大会開催期間中、首都高や一般道の平日の交通量を「15%減」(休日並み)とするという目標を掲げました。

そして、企業や物流関係者、市民に協力を呼びかけ、時差出勤や物流ルートの変更などで交通量を抑制する「交通需要マネジメント(TDM)」による交通渋滞緩和を目指しています。

しかしこれは、あくまで企業や物流業界、市民の協力による交通量の削減策であり、実際、どれくらいの交通量削減が達成できるのか読めません。ようするに、大会を開催期間中にならないとその効果はよく分からないのです。

 

政府は首都高速道路の通行料金を競技時間帯は500円から3000円を上乗せして交通量を調整する「ロードプライシング」や、ナンバーによる通行制限、「相乗り」専用レーンの導入を検討しています。

通行料金は距離や時間帯に応じて300円から1300円(ECT普通車)で設定されています。仮に3000円上乗せが実施される区間の通行料金は最大で4300円という高額になるというのでびっくりですね。

 

物流業界はベイゾーンに倉庫など輸送拠点を持っている企業が多く、オリンピック、パラリンピック開催中の交通問題の行き先に懸念を示しています。

 

私たちに協力できることは、

・オリンピック期間中はネットでの買い物を控える→ネットショッピングは予めストックできるものは買っておきましょう。

・通勤通学に自転車を使う→オリンピックに感化して体を動かしたくなりますよね。

・不要不急のお出かけは控える→ドライブデートは我慢し、家でオリンピック観戦しましょうね。

3、東京オリンピックとテレワーク

オリンピック期間中の交通問題に対し、国が各企業に呼びかけているのがテレワークです。

テレワークとは、「tele=離れたところで」と「work=働く」をあわせた言葉で、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。つまり、パソコンでネットに繋げば家でも仕事ができるということです。

 

以前こちらでも詳しく紹介致しましたが、通勤不要になるため、東京23区の電車や道路の混雑解消に効果が期待されます。

オリンピックに来た海外のお客様をぎゅうぎゅうの電車でお迎えすることのないよう、2017年から予行演習として”テレワーク・デイズ”を実施しています。

ロンドン大会では、企業の約8割がテレワークや休暇取得などの対応を行い、市内の混雑を解消しました。

日本では初年度、2017年は参加団体950団体、実施者数6.3万人が参加。

東京メトロ豊州駅のピーク時間帯乗客減少量-10%など交通混雑を緩和する効果がありました。

2018年は参加団体1682団体、実施者数30万人が参加しました。

豊洲駅の乗客減少量ー14.5%、ベイエリアへの乗り換え駅である大井町駅-26.2%の効果があり、東京23区への通勤者が41万人減少する結果になりました。

参考:テレワーク・デイズ2018実施結果報告より

 

東京都副知事は商工会議所の会合に出席し、

「民間企業の皆さまのご理解とご協力がなければ成り立たない。各会社で、例えば全社一斉にお休みいただくとか、従業員の方の夏休みを計画的に割り振っていただくなど、さまざまな工夫をお願いできればと考えております」

と呼びかけました。

 

最後の演習である2019年テレワーク・デイズは期間を延長し、2019年7月22日から9月6日まで実施予定です。3000団体、60万人の参加を目標に、都内企業は期間中5日以上の実施呼びかけます。参考:テレワーク・デイズ2019より

 

テレワーク経験者は

・猛暑の中で通勤をせずに済んだ。体力を消耗することなく業務に集中できた。

・移動時間の削減、通勤ラッシュの時間回避により、身体的精神的負担が軽減した。

・タイムマネジメントが向上した

・テレワークをきっかけとして、チーム内での情報共有が活発になった。

・働き方についての視点が変わり、業務改善に繋がった。

など、テレワークにはメリットが多いと言います。

 

テレワーク環境の整備、セキュリティ対策、適切な労務管理などの課題もあります。

しかし、テレワークにより、育児、介護中の人、障がい者、退職したシニアも働くことができます。つまり人手不足に悩んでいる企業こそ、解決策に繋がる道なのです。

2020年まで後一年半。どの企業も取り組んでいくべき課題です。

 

4、東京オリンピックとレガシー

レガシーとは英語の”Legacy”で、日本語訳で”遺産”を意味します。

オリンピックでいうレガシーは国際オリンピック委員会(IOC)が最近力を入れているテーマです。

 

オリンピック憲章には

「オリンピック競技大会のよい遺産(レガシー)を、開催都市ならびに開催国に残すことを推進す る」(第 1 章「オリンピック・ムーブメントとその活動」第 2 項「IOC の使命と役割」)。

と記載され、「長期にわたる、最もポジティブな影響」としています。

 

前回の1964年の東京オリンピックは日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度成長の弾みとなった大会(引用・TOKYO2020大会ビジョンより)です。

東海道新幹線や首都高速ができ、体育の日の制定などがレガシーとして挙げられます。

 

東京2020大会では何が未来にレガシーとして残るでしょうか。

問題になっている、次々と建設している施設のその後が負の遺産とならないよう考えていく必要があります。

新国立競技場のデザイン案の問題も記憶に新しいところですよね。

現在、莫大な費用をかけてアクアティクスセンター(水泳競技)、海の森水上競技場(カヌー、ボート)など新施設の建設をしています。しかしその後、維持するだけで年間○億円という試算もあります。

味の素スタジアムのようにネーミングライツで収入を得たり、運営を民間に託す、今後も東京で国際大会が開かれるよう招致するなどの工夫が必要です。

 

パラリンピック開催に伴うユニバーサルデザイン(多くの人に使いやすいデザイン手法)の街づくりはレガシーに残したいですね。

パラリンピックは障がいを持つ方のスポーツ大会であり、人間のもつ能力の可能性に気づく機会でもあり ます。パラリンピック選手の健闘は私たちの意識や行動を変え、ともに働き、ともに生きる世界を作ります。

ユニバーサルデザインをハード面だけでなく、心の優しさ、思いやりのソフト面にも。

 

私たちの働き方もテレワークという選択肢が増え、シニア、障がい者、子育て、介護中の人、どんな人でも平等に仕事ができるようになります。

企業の人手不足も解決する上、労働者側も仕事も持つことで生き生きとした生活が送れるようになります。これもオリンピックが契機となる働き方となるでしょう。

写真出典:TOKYO2020

5、まとめ

オリンピックは”おもてなし”の文化を持つ日本の良さを世界中に知ってもらういい機会になるでしょう。

清潔な街づくり、優しい心配りのできる日本人、ヘルシーで美味しい日本食など日本の良さを味わってもらいたいですね。

道路渋滞、満員電車、蒸し蒸しとした暑さというマイナスのイメージで終わることのないよう対策はしっかりと。

そして、「東京2020大会から変わったよね」というレガシーを残していきましょう。

 


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