オフィスでできるSDGs
2019/4/9
SDGsという言葉をご存じでしょうか?
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連サミットにおいて採択された「地球と人々の暮らしを良くする」という全世界共通のグローバル目標です。
以前、”私たちにできること”として身近に取り組めること、またSDGsに積極的に取り組む企業を〝前編”・”後編”でご紹介しました。
今回はオフィスで取り組むべきSDGsとして、会社で取り組むべきこと、オフィスで一人でもできることを考えてみましょう。
目次
第二次世界大戦で大きな被害を出した反省から、国際連合(国連)ができました。
国連は、中核的な6つの機関(総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局)と、国連ファミリーと呼ばれる15の専門機関(ユニセフ(国連児童基金)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、WHO(世界保健機関)など、多くの計画や基金、機関の組織があります。
国や民族の垣根を越えて地球の平和を目指していますが、紛争や内戦など複雑な問題が増えるなか、中核的な機関では対応しきれなくなりました。さらに国連ファミリーもそれぞれの分野の課題解決に取り組み、それなりに成果を挙げてきましたが、連携が十分になされない面もありました。
大量生産、大量消費の裏には限りある地球資源問題。広がる貧富の差。酷暑や豪雨、台風の巨大化といった異常気象。全ては繋がっており、さらに厳しい状況を生み出すという悪循環となっています。地球が、そして地球に存在する生命がSOSを出しています。
そこで2015年に国連で採択されたのが”SDGs”です。
環境、貧困、人権、平和、開発など、今まで国連ファミリーや市民団体などが取り組んでいた課題を、2030年までにすべきこととして整理されました。
「誰一人として取り残されない」
「あらゆる貧困と飢餓に終止符をうつ」
「地球と人々の暮らしをより良くする」
ことを目的に掲げられたグローバル目標で、17のゴールと169のターゲット、そして進み具合をチェックするための232の指標があります。
SDGsの素晴らしい点はゴールが明確に2030年と決められていることです。期限をしっかりと決めることで、目標への道筋が立てやすく実効性が高くなります。
また、17のゴールをそれぞれ別のものとせず、相互に繋がりあるものと捉える点も、互いに相乗効果が得られるのでより効果が上がります。
国連と聞くと、国や政府の話であり自分には関係ないわ、と思わないでください。
企業も目標に掲げていますし、私たち一人一人が「地球市民」として、日常の生活で取り組めること、意識することが大切です。
CSRをSDGsに関連付けて発表する企業が増えています。
世界のために、人々の暮らしの向上のために企業ができることをする。そういった考え方がグローバルスタンダードになろうとしています。
スターバックスコーヒージャパン株式会社では、環境に配慮した素材を使った紙カップの使用を開始し、プラスチック製のストローを全廃し、紙製のストローに2020年までに世界中の全店舗で変えると発表し話題になりました。世界に2万8000カ所あるスターバックス店舗では、推計10億本のプラスチック製ストローが毎年使用されています。
「2050年に海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」
というショッキングな予測に企業として向き合った形といえます。
出典:国際連合広報センター
株式会社リクシルでは世界の衛生環境を改善しようと「みんなにトイレをプロジェクト」を立ち上げています。ユニセフやJICA(国際協力事業機構)、国際NGOであるウォーターエイドなどと協働して、2020年までに1億人の人びとの衛生環境を改善することを目標に掲げています。
「安全で衛生的なトイレを利用できない世界の人々が約23億人」
「そのうち屋外で排せつをしている人々が約9億人」
「下痢性疾患で命を落とす5歳未満の子ども1日800人」
という問題に企業として向き合っています。
このようにSDGsに取り組む企業が増えている背景には、私たち消費者の変化が関係しています。
「新しい家電はエコな低電力製品を買おう」
「エコなイメージのある企業の商品を買おう」
など、環境や社会問題への関心が高まりエコに対する審美眼が養ってきました。
これからは”いい製品を作る、いいサービスをする”と同時に”社会に貢献する、地球環境を守る”といった考え方がスタンダードになります。
裏を返せば、企業はSDGsを意識した経営方針でなければ、消費者に見向きされず淘汰されていく時代となるでしょう。
エコな商品開発をする、開発途上国の貧困をなくすなど、自分一人ではどうしたらいいかわかりませんよね。
SDGsは壮大な目標すぎて、国や政府のレベルで取り組むことで、自分は関わることはできないと思っていませんか?
そんな私たちのために、国連は 『持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド』を提案しています。
出典:国連HPhttps://www.un.org/sustainabledevelopment/takeaction/
レベル1: ソファに寝たままできること
レベル2: 家にいてもできること
レベル3: 家の外でできること
レベル4: 職場でできること
ここではレベル別に私たちが1人で取り組めることを紹介してます。
とてもわかりやすいので是非ご覧ください。
男女平等は基本的人権に関わることです。日本のジェンダーギャップ指数は144カ国中114位と男女格差が大きく、同じ仕事をしても女性の賃金は男性より20%以上少ない、管理職に女性が少ないという問題はジェンダー平等に反します。
その人その人の能力に男性、女性は関係ないことを認識しましょう。家事育児介護は男女平等にしましょう。
日本では2019年4月から年次有給休暇取得義務化がスタートし、有給休暇を取らないと会社が罰せられる法律ができたのはご存知ですか?(詳しくはこちら「春からスタート!有給休暇の取得義務化について」)2018年の有給休暇の取得率は51%と低く、有給休暇の存在すら知らない人も。労働者としての自分の権利を知り、有給休暇はきちんと取りましょう。
会社の発注を頼まれた時や取引先を選ぶ時など、その商品やサービスは不当な労働から成り立っていないか、取引先企業はクリーンな企業か、エシカル(倫理的)企業か調べ選択しましょう。
もし、あなたが電力会社も選べる立場にあれば、太陽光発電、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーの電力会社にシフトしましょう。再生可能エネルギーの割合が増えると日本のエネルギー自給率が上がり、火力発電によるCO2問題解決の糸口になるでしょう。
ガソリンを使う自家用車は止めましょう。歩くことで運動にもなるし、お財布にも優しく、環境にもいい一石三鳥もの効果が。
オフィスの電力の48%が空調、24%が照明、16%がOA機器となり、この3つが全体の消費電力の88%を占めます。空調を使わない季節はコンセントを抜けば待機電力もカットできます。外に出ている人のパソコンは電源を落とし、普段使わないOA機器はコンセントを抜きましょう。もちろん人がいないところは照明もOFFしましょう。
先進国の紙パルプの生産のために、マレーシアやインドネシアの森林が伐採され生態系を脅かしています。世界中の森林が1分ごとに東京ドーム5つ分の面積が消滅している現実を重く受け止めましょう。
請求書が来たら振込は銀行へ行かず、ネットで振り込めば紙を使わなくていいですね。
日本はプラスチックの生産量で世界第3位。1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量については、世界第2位。コンビニがいたるところにある生活で、年間に流通するレジ袋の枚数は推定400億枚。また、ペットボトルの国内年間出荷は227億本に達します。
マイカップがオフィスにあればペットボトルを買わなくていいし、小さく折りたためる布のマイバッグがあればレジ袋を断れます。
海を漂うプラスチックを餌と間違え食べた魚、クジラ、イルカなどの海洋生物。胃の中に消化できずに溜まり続け、本来のエサを食べられずに死んでいく。このような事例が世界中で報告されています。
マイカップをオフィスに置き、マイボトルを持ち歩けば財布にも環境にも優しいですね。
また、会議に出しているペットボトルを廃止し、ポットと湯のみを出しましょう。
「我が社は地球環境問題に取り組んでいます」と書いておけば、お客様の印象も良くなりますよ。
出典:WWFジャパン
コンビニやお弁当屋さんで買うと気になるのが栄養バランスとプラスチック容器。
健康のためにもランチは手作りのお弁当がいいでしょう。お弁当の材料の輸送エネルギーを考え、近い産地の物を買う、地産地消の買い物ができたらベストですね。
ダイベストとは、地球温暖化を悪化させる石炭・石油・ガスを含む化石燃料に依存する企業や、リスクの高い原発関連企業へお金を貸し付けている銀行から、地球に優しい銀行へ口座を移すことです。
あなたが会社の銀行選びに声を発せる立場なら、会社の大事なお金を地球に優しい融資をしている銀行を選びましょう。
銀行選びについてはここをチェックしてください。ttps://letsdivest.jp/
社員食堂では豊富でおいしく、地球にやさしいブルーシーフードを優先的に選びましょう。
地球温暖化や乱獲が原因で絶滅寸前の魚介類が増えています。水産庁によると資源量が豊かな魚種は全体のわずか16.7%にすぎません。
人気のクロマグロも過去50年で97.4%も減少し、絶滅危惧種に指定されました。
しかし激減した魚も数年間の漁獲制限で回復することが知られています。
そこで、資源が比較的豊富なおすすめのシーフードを社員食堂では選ぶようにしよう。未来を生きる子供たちに健康な海を残すために、豊富でおいしく、地球にやさしいブルーシーフードを優先的に選び、海に休息を与えましょう。
ここのブルーシーフードガイドには豊富な漁獲量の魚介類が紹介されています。社員食堂でガイドとともに料理を出したら、SDGsに対して社員の興味が高まる効果も得られるでしょう。
企業がSDGsに取り組むことはスタンダードな時代になりました。
しかし、企業のトップ層が決める方針として挙げただけでは社員の理解と協力は得られないでしょう。
会社で取り組むSDGsの精神を全社員に告知し、教育する。そして納得してもらってから実践。そこで初めて効果が得られます。
トップ層が動かなければ、あなたが提案してください。会社にも必ず吉と出るはずです。